鮨とろ コラム
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第1回     地獄炊き

 地獄炊き。
 この言葉を聞いて何を思い浮かべられるでしょうか?
 何やら70年代ヒーローの必殺ワザのような気もする響きですが、正解は寿司飯の炊き方です。
 所によっては、沸かし炊きとか、湯炊きとも呼ばれる地獄炊きは、研いだ米を直接、沸騰したお湯に投入し、一気に炊きあげる昔ながらの炊き方で、今現在は札幌でも片手で数えられるほどのお店でしかやっていません。
 米が噴く時の音、ニオイ、温度をみて、上下の蓋を閉め、炭の余熱を使って炊かなければいけないので、この炊き方の出来る職人も数少なくなり、写真の蒸し竈も、既に製造中止から20年以上立っているので、地獄炊きはこの後消えて行ってしまう技なのかな?と最近考えるようになりました。
 そんな炊き方を今も続けているのは、この炊き方を極める事が、良いシャリを作る最高の方法であるからです。
 炭火の火力によって一気に炊きあげた米は、粒がしっかりと立ち、ほどよい粘りと甘みを出します。
 最近のガス釜や電気釜は、この炊きあがりを誰でも炊けるよう改良されていますが、まだ、今一つ及びません。
 これからも地獄炊きを、出来る限り続けて行こうと思っています。
                               了